カフェとアートからはじまった、100年後も続くまちづくり(後編)|SANDO BY WEMON Projects / サンド バイ エモン プロジェクツ

前編はこちら:https://www.ackt.jp/report/sando_by_wemon_projects_1 ‎

本業ではないもう一つの顔に「◯◯ゑもん」とあだ名をつけて、新しい関係性が生まれるまちへ。

SANDOでいろいろなお客さんと話をする中で、本業とは別の個性的な側面が見えてくることもありました。

「僕たちが立ち上げた『ゑもんプロジェクツ / WEMON PROJECTS』では、本業とは別の個性や好きなことを持つ人を『◯◯ゑもん』と名付けました。たとえば、L PACK.の小田桐の本業はアーティストですが、SANDOではコーヒーを淹れる『コーヒーゑもん』、松ぼっくり博士の小学生なら『松ぼっくりゑもん』など」(中嶋)

それぞれのゑもんたちは、得意なことを活かしてSANDOで展示を開いたり、ゑもんプロジェクツが発行するフリーペーパー「HOT SANDO」のインタビューを受けたり、長年の知り合いの知られざる特技を「ゑもん」で知ることができたりと、本業とは異なる新しい関わりが生まれていきました。

「自分の得意や好きなことを『◯◯ゑもん』として伝えることができれば、『ゑもん』としてまちの困りごとを解決できるかもしれないし、そんな個性的な人たちがいるまちをもっと面白いと感じることができます。ゑもんプロジェクツが引き継がれていけば、100年後はさらに面白いまちになっているんじゃないかと思います」(小田桐)

SANDO」が終わっても、人のつながりは続きます。

その後、コロナ禍を経て「池上エリアリノベーションプロジェクト」は終了し、2022年1月31日をもってSANDOは閉店することになりました。

SANDOで新しく起こりはじめていたことは、これで0に戻るのでしょうか? そう尋ねるACKTメンバーに、「この3年間で知り合えた面白い人たちとのプロジェクトは、これからも続けていこうと思っています」と中嶋さん。

SANDOに通うお客さんの中には、空き物件のオーナーや、空き物件を活用したいという人もおり、3年経ってようやくゆるやかなマッチングが起こりはじめていました。

そして、なんと閉店が決まったSANDOから徒歩2分の物件とご縁があり、再びL PACK.と敷浪さんがタッグを組み、コーヒーが飲めるカウンターのあるお店にリノベーション。L PACK.の活動は、池上でも続いていくことになりました。

 

「SANDOは池上エリアリノベーションプロジェクトの一つなので、プロジェクトが終わればなくなります。でも、自分たちで始めたゑもんプロジェクツのように、終わらないこともいろいろあります。これからも、“まちづくりのため”にしたいと思うことはないけれど、自分たちがやりたいと思うことは引き続きやっていきます。アーティストの僕らも何が起こるかわからない、ただ面白いことが起こるきっかけを作り続けていきたいと思います」(中嶋)

まちの変遷とともに変わっていくものもあれば、ゆるやかに残っていくものもある。100年とはそうやって積み重ねられていく年月なのかもしれません。

Interviewee :LPACK. |WEMON Projects  https://lit.link/wemon
Interviewer : ACKT
text : Yu Kato photo : Kensuke Kato