CAST|Vol.03 金田涼子

ACKTでは、まちなかで新しい動きを作る人やそこに参加する人を[CAST]と呼びます。そんなCASTのさまざまな活動をピックアップし紹介する連載。第3回目はACKTの行うプログラムの一つである「Kunitachi Art Center」の企画に携わり、「◯ZINE ACKT02」の表紙を担当した作家、金田涼子さんにお話を伺いました。

Q.ご自身の活動について教えてください。
普段はペインターとして、お世話になっているギャラリーや所属先などを通じて、個展やグループ展、アートフェアなどで作品を発表しています。また「199X」という90年代生まれのキャラクター表現の作家を集めたグループ展を2012年から毎年キュレーションしています。

Q.なぜ、現在の作風になったのですか?
絵柄についてはよく聞かれていたのですが、私は小さい頃からアニメ・漫画・ゲームなどに触れてきていて、絵を描き始めたきっかけも漫画やアニメのイラストからでした。美大に入り、作家活動をしようかというのが見え始めて作品制作を考えたときに、自分の生まれ持っている漫画的表現という所と、元々日本美術、浮世絵や日本画もすごく好きだったので、日本画などの平面的な表現と今のキャラクター表現を掛け合わせることにより、なにか自分の一つの絵画になるのではないかと思いました。絵柄は現代的な表現を入れつつ、大きい作品は、日本画独特のパースであったりとか空間を分ける技法みたいなものを取り入れたりして絵画を制作していますね。

Q.自然のモチーフが多いことにも理由があるのでしょうか?
昔の人が山や海とか、大きいものを見て神様の存在…、目に見えない、認知できないものを感じる、という思想がすごく好きでした。コロナ前には実際に各地を訪れて、宗教としてではなく、その土地に根付いた昔からの伝承など、見聞きしたものをテーマに描いたりしていました。目に見えない大きな存在を人々が恐れたときに神様として、自分たちと同じ人のカタチに例えて名前をつけることがあります。そうして伝承していたものを自分のキャラクター表現を通して描くといった感じですね。

Q.昔から伝承に興味があったのですか?
そこまで意識してはいなかったのですが、私は実家が茨城の田舎で自然が当たり前にある環境で育ちました。大学の卒業制作で大枠のテーマを考えたときに、地元の絵を描いたんですよね。その時に、地元から離れていたことで今まで意識してなかった土地の固有の文化があったんだということに気がついて、そこからすごく興味を持ちました。それからは制作のために色々な場所へ行くことも多くなりました。

Q.金田さんは周囲から自身へ向けられる評価などについて、どのように捉えているのでしょうか?
活動初期は美術大学を卒業してキャラクターを描くということが珍しく、当時は「なんでこの作風で絵画を描くのか」みたいなことを聞かれることがすごく多かったです。活動を始めて5年くらい経ってからはキャラクターを描いた作品がギャラリーに飾ってあっても違和感を感じる方が減ってきた印象があり、表現の形としてこういうものがあるということを普通に捉えた上で作品を見てくれるようになりました。近年はポップアートが盛んなこともあって、画風がきっかけとなり興味を持って見てくれる人も多いですね。

Q.最後に今後の展望などを教えてください。
活動する国は増やしていきたいなと思います。現在は国内やアジア圏での活動が多いのですが、アメリカやヨーロッパなどでも展示できたらいいなと思います。一つの国にしぼらずさまざまな場所に拠点を置くことで、活動を途絶えることなく続けていけるかなという気持ちもありますし、純粋に作家として様々な国で作品を見てもらいたい思いもあって近年の目標になっています。

-古来より人々が日々の営みの中で伝承してきた自然への考え方と金田さん自身がその手で触れ、慣れ親しんできた日本カルチャー。その両方を融和し昇華したものが金田さん自身の表現となっているのですね。作品に込められた想いの一端を感じることができました。

 

金田涼子(美術家)|1991年茨城県生まれ。横浜美術大学卒業。神や自然現象など人知を超えた存在を大小様々な女の子たちを描くことにより表現している。近年では日本の土着的な文化や日常的な気配などをテーマとした作品を多く制作。主な個展として「雪月風花」宝龍美術館(上海、2023年)、「from beyond the sea」ARTTRIO(シンガポール、2023年)などがある。2012年から同時代のキャラクター表現を模索する試みとして「199X」を主催している。

Interviewee : Ryoko KANETA
Interviewer : ACKT
text : Ryo ANDO
photo : Ryo ANDO